そうしたなかで「賃料の相場はどのくらい?」「交渉できるか心配……」と、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、テナント物件を借りてクリニックを開業する際の賃料の目安や交渉時のポイントを解説します。
賃料に関する不安を解消し、自信をもってテナント物件を選ぶためにぜひ最後までご覧ください。
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クリニックを開業する場合の賃料の目安は?
クリニックの開業にあたり、テナント物件を賃借する場合の賃料は、医業収入の6~8%が目安だといわれています。
たとえば1か月の医業収入が500万円の場合、その6~8%に相当する30万~40万円程度が適正な賃料の目安です。
この割合を目安にすれば、過度な賃料負担を避けながら収益性を維持することが期待できます。
ただし開業当初は、借入金の返済や集患の進み具合によって経営が不安定になりやすく、賃料の支払いが予想以上に負担に感じられることもあるかもしれません。
こうした、賃料が経営に与える影響をできる限り抑えるには、契約前に値下げ交渉を行うことが重要です。
後述する値下げ交渉時のポイントを押さえて貸主と話し合えば、条件の見直しに応じてもらえる可能性も十分にあります。
エリア別に見るクリニックの賃料相場
テナント物件の賃料は、立地するエリアによって大きく変動します。
前項でお伝えした賃料の目安を念頭に置きながら、ここからは、東京都・大阪府・愛知県の都市部と郊外の賃料の違いを見ていきましょう。
都市部の場合
まずは、都市部におけるテナント物件の坪単価の相場を紹介します。
都市部のテナント物件の坪単価の相場
エリア | 坪単価の相場 |
東京都23区 | 1万5,000~3万円程度 |
大阪府中心部 | 1万~2万円程度 |
愛知県中心部 | 8,000~1万8,000円程度 |
都市部の場合、仮に20坪のテナント物件を借りるとすると、東京都で30万~60万円程度、大阪府で20万~40万円程度、そして愛知県で16万~36万円程度の賃料となります。
郊外の場合
東京都・大阪府・愛知県のなかの郊外とよばれるエリアにおいて、テナント物件の坪単価の目安はどの程度なのでしょうか。
以下の表にまとめたので、ご覧ください。
郊外のテナント物件の坪単価の相場
エリア | 坪単価の相場 |
東京都23区近郊 | 8,000~1万5,000円程度 |
大阪府中心部近郊 | 6,000~1万2,000円程度 |
愛知県中心部近郊 | 5,000~1万円程度 |
先ほどと同様、20坪のテナント物件を借りたときを例に、賃料の目安を確認していきましょう。
郊外の場合、東京都では16万~30万円程度、大阪府で12万~24万円程度、愛知県で10万~20万円程度がおおよその賃料です。
このように、同じ都府県であっても、都市部と郊外とでは賃料に大きな差があることがわかります。
テナント物件の賃料を抑えすぎるリスクはある?
テナント物件を決める際、安さだけを重視して選ぶと、月々の出費がかえって多くなってしまうケースがあります。
たとえば、賃料が月60万円で立地が非常に良いテナント物件と、賃料が月40万円で立地があまり良くないテナント物件があったと想定しましょう。
そこで、「安いから」という理由で後者を選び開業すると、思ったほど患者さんが集まらず、広告費に30万円を支払う必要が出てくるかもしれません。
その場合、結果として毎月70万円の出費が発生し、賃料が60万円のテナント物件を借りるよりも割高になってしまうというわけです。
そのためテナント物件を選ぶときは、価格だけでなく「視認性が高いか」「歩行者や車の通行量があるか」なども考慮しながら、慎重に検討することが大切です。
クリニックの開業時に賃料の値下げを交渉する際のポイント
先ほどお伝えした通り、テナント物件の賃料をできる限り抑えて借りるには、値下げ交渉を行うことが重要です。
クリニックの経営を安定的に続けられるよう、ここでは値下げ交渉時に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
ポイント①近隣にあるテナント物件の賃料の相場を調べる
クリニックの開業時にテナント物件の賃料を値下げ交渉する際は、同じエリアの賃料相場をあらかじめ調べておきましょう。
近隣の賃料相場を把握しておけば、借主が求める賃料としての正当性を示しながら、値下げの交渉を持ちかけることができます。
賃料相場を調べるときは、ポータルサイトを活用したり不動産会社に問い合わせたりすれば、効率良く情報を集められます。
また交渉の際は、単に値下げを求めるのではなく、貸主にとってのメリットにも配慮し、お互いに納得できる条件を探ることが成功の鍵です。
ポイント②フリーレントを希望する
一定の期間、賃料が無料になる“フリーレント”を希望するのも、賃料の条件の交渉時に覚えておきたいポイントの一つです。
クリニックを開業する際は、勤務先を辞めてから実際に開業するまでに数か月のあいだが空くこともあるでしょう。
良いテナント物件は早めに確保しておきたいところですが、契約のタイミングが早過ぎると、開業までの期間における賃料の支払いが大きな負担となってしまいます。
この費用負担を避けるために、賃料の免除期間であるフリーレントの交渉も忘れずに行いましょう。
ポイント③交渉回数を少なくする
テナント物件の賃料を値下げ交渉する際は、やり取りの回数を減らすことで、貸主との良好な関係維持につながります。
具体的に、賃料の条件交渉後は、貸主の初回の回答で契約の可否を決めるのが望ましいといわれています。
何度も食い下がって交渉を持ちかけると、それを良く思わない貸主も少なくありません。
今後の良好な関係を築くために、1回で納得してもらえるような交渉材料を用意し、やり取りの回数を抑えることが大切です。
クリニックを開業する場合の賃料は、医業収入の6~8%が目安
今回は、テナント物件を借りてクリニックを開業する際の、賃料の目安や交渉時のポイントを解説しました。
テナント物件を借りてクリニックを開業する場合、賃料は1か月の医業収入の6~8%が目安といわれています。
魅力的なテナント物件が見つかったものの、賃料が割高に感じられた場合は、近隣のテナント物件の賃料相場を調べたうえで値下げ交渉に臨んでみましょう。
「賃料の目安や交渉のポイントはわかったけど、一人で準備を進めるのは不安……」という方は、マツキヨココカラが提供するクリニック開業サポートに、ぜひご相談ください。
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