しかし、開業に関する知識がなく、「具体的なメリットを知りたい」「何から準備したらよいのかわからない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、眼科クリニックを開業する魅力や事前知識、開業を成功させるポイントを解説します。
眼科クリニックの開業を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
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眼科の開業医の現状
眼科は、ほかの診療科よりも開業医が多く、比較的若い年齢で独立しているケースが多いようです。
厚生労働省が実施した“令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況”によると、医療施設に従事している眼科医は13,554人です。
上記のうち、診療所で働く眼科医は8,471人(約62%)となっており、ほかの診療科よりも多い人数を記録しています。
たとえば、全国に13,479人の医師がいる循環器内科と比較すると、診療所で働く循環器内科医は2,324人(約17%)であるため、眼科医のほうがはるかに多いことがわかります。
このような結果から、個人で診療所を開いている眼科医も多いことが推察できるでしょう。
また、診療所で働く医師全体の平均年齢が60.4歳である一方で、眼科医のみに絞った場合の平均年齢は59.1歳です。
眼科医の平均年齢のほうが全体を少し下回っていることから、若い年齢で開業している医師も多いといえます。
参照元:厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
眼科を開業する魅力とは
ここからは、眼科クリニックを開業することの3つの魅力について深掘りしていきます。
需要がある
パソコンやスマートフォンの普及により、眼への負担が大きくなった近年では、眼科の需要も高まりつつあります。
眼への負担が増えると、同時に視力低下や眼病などに悩まされることも多くなります。
そのため、眼の不調の原因を特定することを目的として、眼科の受診を考える方も増えるでしょう。
また、眼鏡やコンタクトレンズの処方箋を求める患者さんも一定数いるため、需要がなくなる心配は低いと考えられます。
勤務医のときよりも年収が増える可能性がある
眼科医は、開業することで勤務医のときよりも年収を増やせる可能性があります。
眼科の勤務医の場合、年収は1,300万~1,900万円が相場です。
一方、開業医になると、厚生労働省の“第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)”によれば、約3,000万円の損益差額が得られるという結果となっています。
この損益差額をすべて年収にできるとは限りませんが、勤務医よりも得られる収入は増えるといえるでしょう。
参照元:厚生労働省「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)」
ワークライフバランスが取りやすくなる
開業すると、仕事の裁量は自分で決められるようになるため、ワークライフバランスが取りやすくなります。
業務時間をうまく調整することで、プライベートも大事にしながら、仕事に専念できるようになるでしょう。
ただし、開業医は勤務医とは異なり、経営に関する業務なども自分ですべて担うため、仕事量が増える可能性があります。
理想的なワークライフバランスを実現するには、仕事量をきちんと調整しつつ働くことが大切です。
眼科の開業時に必要な資金
眼科クリニックの開業を考えるのであれば、どのような部分にお金がかかるのか? という点も踏まえておきましょう。
以下で、開業時に必要となる設備資金と運転資金について解説しますので、参考にしてください。
設備資金
設備資金とは、クリニックの開業に際して設備を整えるための資金のことです。
具体的には、以下のような例が設備資金に分類されます。
設備資金の具体例
- 物件を借りるための保証金
- クリニックの内装費
- 医療機器・医薬品の購入費
- 電子カルテ関連費用
- オンライン予約システムにかかる費用
上記のうち、物件を借りるための費用は、立地条件にこだわると高額になる場合があります。
また、医療機器の購入費も、事前によく検討しておくことが重要です。
眼科の開業には、眼圧計や眼底カメラ、あるいは静的視野計など、最低限揃えなくてはならない機器が複数あります。
このような眼科に必須となる機器は、相応の金額を投資して設置することが望ましいでしょう。
くわえて、レーシック手術やレーザー治療といった施術を行う場合は、より多くの医療機器の導入が求められます。
設備資金の予算を組む際は、医療機器の導入に多額の出費が必要となる点を踏まえたうえで、経営方針に合った計画を立てる必要があります。
運転資金
クリニックの経営を軌道に乗せるには、開業直後の運営に充てるための運転資金も用意しておくことが不可欠です。
たとえば、以下のような費用が運転資金として必要になります。
運転資金の具体例
- 物件の賃料
- 従業員の給与・福利厚生費
- 広告宣伝費
- 薬剤費
- 水道光熱費
このような運転資金は、実際に開業してからでなければ、正確な金額を算出することは困難です。
そのため、クリニックの営業を開始したあとに「予想していたよりも水道光熱費がかさみ、資金が足りなくなってしまった」というような事態に陥る可能性もあります。
万が一に備え、運転資金は開業前に多めに用意しておくと安心です。
眼科の物件タイプごとの開業形態
開業に際しては、資金だけではなく物件についても考えておく必要があります。
以下で、眼科クリニックを開く際に選ばれる主な物件タイプと、そのメリット・デメリットを見ていきましょう。
戸建て
戸建てタイプのクリニックは、土地を購入もしくは借りて物件を建てることで開業できます。
戸建ての場合、建築段階からご自身の希望を反映できるため、レイアウトを自由に設計できることがメリットです。
たとえば、院内を完全にバリアフリーにする、あるいは広い駐車場を設けるなどの理想のデザインを実現できます。
一方、レイアウトの設計や建設に時間がかかるうえ、費用負担も大きくなる点はデメリットです。
戸建てでの開業を検討するのであれば、開業までの期間と資金には余裕を持っておくことをおすすめします。
ビルテナント
クリニックの開業形態には、テナントとしてビルに入居するという方法もあります。
この場合、戸建てと比較して初期費用を抑えることができるうえに、立地の選択肢も広がります。
特に、人通りが多い場所や交通アクセスの良い場所などでクリニックを開業したい方に適しているでしょう。
ただしテナントとして入居すると、ビルの内装や設備は自由に変えられないケースが多く、希望通りのレイアウトの実現が難しくなるというデメリットがあります。
くわえて、同じビルに入居しているほかのテナントがクリニックのイメージにふさわしくない可能性もあるため、念入りに調査しておくことが大切です。
クリニックモール
「初期費用を抑えつつ、集患が期待できる場所にクリニックを開きたい」とお考えであれば、クリニックモールでの開業もご検討ください。
クリニックモールとは、複数のクリニックと調剤薬局が1か所に集まっている医療施設のことです。
ショッピングモールなどの一画に設置されている、あるいは1棟のビルに医療機関と調剤薬局のみが入居しているなどの形態が多くみられます。
こちらもビルテナントと同様に、初期費用を抑えつつ、立地の選択肢を広げられます。
さらにクリニックモールは、医療関係のテナントに統一されているため、ほかのテナントとの兼ね合いに気を配る必要がありません。
眼科を探している患者さんにとってわかりやすいランドマークとなることから、安定した集患が見込めます。
なお、クリニックモールの企画会社や施設のルールによって、内装業者や医療機器の選定などに制約が発生する可能性もあります。
このような点も考慮しつつ、クリニックの経営方針に合った開業が可能かどうかを検討しましょう。
眼科の開業を成功させるためのポイント
ここまでにお伝えした内容を押さえることで、開業準備をスムーズに進められます。
そのうえでクリニックの経営を成功に導くには、事業運営に役立つ知識も知っておくとよいでしょう。
本項では、眼科クリニックの開業や経営に際して有用となる4つのポイントを解説します。
ポイント①開業する地域をよく検討する
クリニックの集患につなげるには、経営方針や主軸となる診療内容を吟味したうえで、開業する地域を選ぶことが不可欠です。
たとえば、白内障手術に対する技術の高さを強みとして押しだすのであれば、高齢者が多く住んでいる地域が適しています。
レーシック手術のような専門性の高い施術を行う場合は、多くの方がアクセスしやすい都心部に開業すると、一定の需要が見込めるでしょう。
ポイント②内装にこだわる
眼科を受診する患者さんの多くは、眼の不調によって周りのものが見えにくいため、そのような状態でも快適に過ごせる内装に仕上げる必要があります。
具体的には、段差をなくす、あるいは院内掲示の字の大きさや位置を工夫するなど、バリアフリー設計にこだわるとよいでしょう。
また、レイアウトの自由度が高い戸建てのクリニックを開業する場合は、車椅子に対応した設計を取り入れることも重要です。
車椅子の方も通いやすい造りにすることで、再診率を高められる可能性があります。
ポイント③眼鏡・コンタクトレンズの販売店とも連携する
本来、眼鏡やコンタクトレンズの購入に眼科の処方箋は必須ではありませんが、販売店と連携することで、処方箋を求めて眼科を受診する方の増加が期待できます。
結果として、視力検査や眼鏡・コンタクトレンズの処方による収入も増えるでしょう。
ポイント④適切なスタッフを採用する
クリニックの経営には、診療方針に適したスキルを持つスタッフを配置することも欠かせません。
そのため、看護師や医療事務をはじめとした、クリニックの運営を支えてくれる人員の採用を進めることも大切です。
経営方針によっては、視能訓練士(ORT)を採用しなくてはならないケースもあるため、きちんと採用計画を立てておく必要があります。
眼科を開業するにあたって差別化を図るには?
眼科クリニックの開業において、戦略的に他院との差別化を図るには、独自の強みを押しだすことが重要です。
したがって、まず経営方針や主軸となる診療内容を考えることが必須となりますが、それらを効果的にアピールするためのマーケティングも求められます。
たとえば、インターネットで情報を収集する方に向けて、ホームページの運営やリスティング広告の出稿などを通じて売り込むという方法が挙げられます。
なお、このようなマーケティング戦略の考案や実施は、専門的な知識やスキルが必要な業務です。
本業である医療業務のかたわらで進めるのは大きな負担となるため、開業支援のプロに業務を一任することをおすすめします。
眼科を開業することにはさまざまな魅力がある
今回は、眼科クリニックを開業するにあたり、その魅力や事前に踏まえておきたい知識を解説しました。
眼科クリニックを開業した場合、勤務医よりも働きやすい環境を手に入れられる可能性があります。
このようなメリットを求めて開業を検討するのであれば、必要な資金や物件タイプによる違いを押さえておくと安心です。
あわせて、開業を成功させるためのポイントも知っておくと、準備をスムーズに進められるでしょう。
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