開業医になる場合、厚生年金には加入できません。
厚生年金がない分、勤務医で働くよりも将来受け取る年金が減るため、老後に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、開業医がどの程度の金額の公的年金を受け取れるのか確認するとともに、老後資金を確保する方法を紹介します。
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開業医が加入する公的年金制度
開業医が加入する公的年金制度は、“国民年金”です。
国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務づけられている公的年金のことです。
自営業者に該当する開業医は、国民年金の“第一号被保険者”として毎月定額の保険料(1万7,510円)を納付します。
加入開始から10年(120か月)以上保険料を納めると、原則65歳以降、加入期間に応じた額の老齢基礎年金を受け取れるようになるというのが制度の仕組みです。
老齢基礎年金を満額受け取るには、保険料を40年間(480か月)分納める必要があり、この場合の支給額は、毎月6万9,308円となります。
この老齢基礎年金だけでは、老後を過ごすことは難しいといえるでしょう。
開業医として働くうえでは、国民年金だけでなくほかの制度を活用して、老後の資金問題に備えなければなりません。
※保険料や年金の支給額は令和7年度の金額を記載しています。
参照元:日本年金機構「国民年金保険料」
参照元:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
開業医は退職金をもらえる?
ご自身が経営者となる開業医が、退職金を得ることはありません。
勤務医の場合、一般的な会社員と同様に1,000万~2,000万円程度の退職金を受けることが期待できます。
開業医は、退職金の積み立てや厚生年金の保険料など月々支払う費用は少なくなるものの、引退後にまとまったお金は受け取れないのです。
開業医が必要な老後の資金
老後に必要な資金は、家族構成やライフスタイル、住居の状況によって大きく異なるため、“どのくらいあれば十分か”を一概に示すことはできません。
しかし、公益財団法人生活法人文化センターが行った「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」に一つの指標となるデータがあります。
同調査では、老後を夫婦2人で暮らす場合に、「経済的なゆとりがある生活をするには毎月どの程度のお金が必要か?」という旨の質問を4,837人に聞きました。
回答を集計した結果、必要と考える生活費の平均は月額39万1,000円となりました。
この金額は実際に支出している額ではなく「これくらいは欲しい」と感じる目安の回答ですが、老後にゆとりがある生活を送るためには相当の備えが必要なことがうかがえます。
特に現役時代の収入水準が高い傾向のある開業医は、自身の生活水準に合わせて余裕を持って老後資金を考えておく必要があります。
参照元:公益財団法人生活法人文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」
開業医が老後の資金を蓄える方法
ここまで見てきたように、開業医が引退後の生活費を国民年金だけでまかなうのは現実的とはいえません。
安心して老後を迎えるには、ほかの方法も活用して計画的に老後の資金準備を進める必要があります。
本項では、開業医が老後を安心して過ごすために検討したい具体的な資金準備の方法を紹介します。
開業医が老後の資金を蓄える方法
- 国民年金基金
- 付加年金
- 小規模企業共済
- 医師年金
- 保険医年金
- iDeCo
- NISA
国民年金基金
国民年金基金は、開業医を含む第1号被保険者の年金を増やすために設けられた制度です。
月額6万8,000円を上限に保険料が設定でき、その保険料の金額や支払期間、また加入口数などによって年金の支給額が決まります。
たとえば、30歳男性がA型(終身年金/15年保証期間付)に2口加入した場合の月額の保険料は、1万5,675円です。
これを60歳まで30年間支払うと、毎年36万円を終身で受け取れます。
なお、上記の例は公式ホームページで利用できるシミュレーション結果に基づいた試算となります。
ご自身の場合、どの程度の保険料になるかは実際にシミュレーションにてご確認ください。
付加年金
国民年金の付加年金を納付することも一つの手です。
付加年金は、通常の国民年金保険料に月額400円を追加で納付することで、毎年の支給額に“200円×納付月数”の金額が上乗せされる仕組みです。
たとえば、10年(120か月)付加年金を納付しつづけると合計4万8,000円(400円×120か月)の支払いとなります。
その結果、毎年の年金が2万4,000円(200円×120か月)増えるようになり、2年以上年金を受け取れば付加年金分の追加保険料の元を取ることができます。
なお、国民年金基金と付加年金は併用できません。
国民年金の上乗せとなる制度の利用を検討している際は、どちらの制度のほうがご自身に適しているか考えたうえで選ぶ必要があります。
参照元:日本年金機構「付加保険料の納付」
小規模企業共済
小規模企業共済制度とは、開業医を含む個人事業主や小規模企業の経営者や役員のために設けられた退職金のような制度です。
掛金を月に1,000~7万円の範囲で支払うことで、事業を廃業する際や65歳を迎えたときに共済金が受け取れます。
一例として、シミュレーションによると月1万円の掛金を20年間分(240万円)支払いつづけた場合、65歳時点で268万8,800円の老齢給付を受け取れるとされています。
同制度の掛金は、全額所得控除の対象となるため節税対策としても有効です。
また、契約者は制度を運営する中小機構から、掛金に応じて算定された貸付限度額の範囲内で低金利の貸付を受けられます。
医師年金
医師年金とは、日本医師会が運営している、医師のための私的年金制度です。
保険料には、“基本年金保険料”“加算年金保険料”の2種類があり、これらを積み立てた額に応じて将来的に年金が得られます。
基本年金保険料は加入者が一律で支払う保険料で、月払いなら1万2,000円、年払いなら13万8,000円になります。
対して、加算年金保険料は加入者が任意で支払う保険料であり、1口6,000円で上限なく金額を設定可能です。
以下に45~65歳までの20年間、基本年金保険料(月額1万2,000円)と加算年金保険料(月額7万8,000円)を支払った場合の受給額のシミュレーションをまとめました。
医師年金で受け取れる年金のシミュレーション(公式サイト参照)
| 金額 | |
|---|---|
| 払込保険料総額 | 2,160万円 |
| 受取年金月額(終身) | 月額10万1,700円 |
| 受取年金総額(20年間受け取った場合) | 2,440万8,000円 |
上記で紹介したのは、満65歳から受給できる養老年金ですが、このほかにも育英年金や傷病年金、遺族年金などを受け取ることもできます。
参照元:公益財団法人日本医師会「医師年金は一生涯あなたを守る年金です」
保険医年金
開業医で保険医協会会員であれば、私的年金制度の保険医年金にも加入できます。
保険医年金は、掛金の支払いが月払いと一時払いから選べるうえ、掛金の減額や払い込みの中断・再開も可能であり、柔軟に利用できるのが特徴です。
参考として、月額3万円の掛金を25年支払いつづけた場合の受給額のシミュレーションを確認してみましょう。
保険医年金で受け取れる受給額のシミュレーション
| 金額 | |
|---|---|
| 累計掛金(保険料) | 900万円 |
| 脱退一時金 | 約1,016万円 |
| 10年確定年金(月額) | 約8万9,000円 |
| 15年確定年金(月額) | 約6万1,000円 |
年金の受け取り方法には、脱退一時金による一括受け取りのほか、10年・15年確定年金の3つがあり、ご自身の要望に合わせてプランを選べます。
なお、上記の結果はあくまでシミュレーションのため、自身の状況に即した受給額を知りたい場合は保険医協会にお問い合わせください。
参照元:全国保険医団体連合「共済制度」
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人で掛金を拠出し、運用する金融商品も自身で選択できる私的年金制度です。
国が実施する制度であり、掛金や受給する金額が税額控除の対象になるなど、税制優遇を受けられるのが特徴です。
金融商品の種類は金融機関によって異なりますが、主に以下の2タイプに分かれます。
iDeCoの金融商品の種類
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 元本確保型 |
|
| 価格変動型 |
|
iDeCoでは、この2タイプの金融商品を組み合わせて運用することもできます。
活用する際は、狙いたいリターンや許容できるリスクによって、購入するタイプやそれぞれの購入割合を考えることが大切です。
なお、拠出限度額は、国民年金基金または国民年金の付加保険料との合計が月額6万8,000円に達するまでとされています。
併用する際は、この点に注意して拠出額を検討する必要があります。
参照元:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】「iDeCoってなに?」
NISA
NISA(少額投資非課税制度)は、投資信託や株式への投資から得られる配当や売却益に対して一定額まで非課税となる制度です。
2024年からは“新NISA”として、非課税となる期間が無制限になりました。
NISAには、金融商品のタイプとして“つみたて投資枠”と“成長投資枠”の2つがあります。
NISAで選べる2種類の金融商品の特徴
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| つみたて投資枠 |
|
| 成長投資枠 |
|
iDeCoと同様に、上記2タイプを併用することもできます。
年間の投資上限は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円の計360万円です。
最大で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)を限度に、非課税で老後資金を準備できます。
参照元:金融庁「NISAを知る」
開業医が老後の資金を蓄えるためのポイント
開業医が安心して老後を迎えるためには、年金制度や投資を活用するだけでなく、「現役時代にどれだけの資産を残すことができるか?」という点も重要です。
本項で、開業医として働くうえで、資産を蓄えるために意識すべき3つのポイントを解説します。
開業医が老後の資金を蓄えるためのポイント
- 収入と支出のバランスを調整する
- 高額な医療機器の導入は慎重に検討する
- 開業時の支出を抑える
収入と支出のバランスを調整する
将来の老後資金を貯めるためには、私生活における収入と支出のバランスを日ごろから意識しましょう。
開業医になり高い収入を得られるようになると、生活水準が上がり支出が増える傾向にあります。
そこで収支のバランスを考えず支出の負担が膨らんでしまうと、十分な貯蓄ができないまま老後を迎えてしまうのです。
老後に貯めるべき金額を算出し、それを達成できるように収支のバランスを調整することが大切です。
高額な医療機器の導入は慎重に検討する
クリニックを経営していくうえで、高額な医療機器を導入する際は慎重に検討することが重要です。
高額な医療機器を導入すると、診療の幅が広がる一方で、ローンやリース料の支払いが長期にわたって発生します。
その結果、資金の余裕がなくなり、老後の準備に回せるお金が少なくなる可能性があります。
医療機器の導入を検討する際は、その機器がどの程度の収益をもたらすのか? と費用対効果を熟考したうえで判断することが、老後資金を確保するためには大切です。
開業時の支出を抑える
開業時の支出を抑えることも、将来を安心して過ごすためには重要なポイントです。
開業時には、テナント取得費や内装工事費、医療機器の購入費、人材採用費など、多額の初期費用が必要になります。
この段階で借入額が大きくなり過ぎると、その後のキャッシュフローが圧迫され、手元にお金が残らず、老後資金にも影響が及ぶ可能性があるのです。
したがって、開業時の支出はできる限り抑えるように心がけましょう。
初期費用を抑える一案としては、医療モールで開業することが挙げられます。
医療モールは複数の診療科のクリニックや調剤薬局を集約した施設で、テナントとして開業するかたちとなります。
テナント料はかかるものの、土地購入費や建築費 の大きな出費が抑えられるうえに、待合室や一部医療機器はほかのクリニックと共有して設備費用を削減できる点が魅力です。
老後資金の心配を軽減するために、医療モールでの開業は検討する価値のある手段です。
開業資金でお悩みならクリニック開業サポートにお任せ
「老後資金を蓄えるためにも、費用を抑えて開業したい」という場合には、クリニック開業サポートに相談することをおすすめします。
クリニック開業サポートは、コンセプトの策定から立地の選定、またスタッフ採用や集患対策まで、クリニック開業に必要な準備を幅広くサポートしてくれる存在です。
これまで多くのクリニックを開業に導いた経験から、費用を最低限に抑えたうえで最適な開業プランを立ててもらうことが期待できます。
また、開業前だけでなく、開業後も安定して成長していくために必要なアドバイスも受けられます。
開業医として成功して老後も余裕を持って過ごすために、ぜひクリニック開業サポートに依頼してみてはいかがでしょうか。
開業医は、さまざまな年金制度や投資を活用して老後に備えることが大切
開業医に加入が義務づけられているのは、国民年金のみであり、厚生年金に加入することはできません。
将来を安心して生活するためには、国民年金基金や付加年金、またiDeCoやNISAなどの制度を活用し、着実に資産形成を進めておきましょう。
また、制度だけでなく、高額な医療機器の導入は慎重に検討したり、初期費用を抑えたりなど現役時代のお金の使い方に気を配ることも大切です。
引退後のこともしっかりと考えて開業するためには、ぜひマツキヨココカラの提供するクリニック開業サポートにご相談ください。
豊富な開業実績によって得た経験や知識を駆使し、意向に沿った開業プランをご提案いたします。
